観劇 『飛龍伝2010 ラストプリンセス』 / 『相対的浮世絵』
『飛龍伝2010 ラストプリンセス』
作・演出:つかこうへい
出演:黒木メイサ、徳重聡、舘形比呂一、矢部太郎、馬場徹、東幹久 他
<ストーリー>
全共闘の委員長に祭り上げられた東大の神林美智子は作戦の為、恋人であり作戦参謀の桂木順一郎によって美智子に好意を寄せる学生の敵・機動隊員の山崎一平のもとに送り込まれる。
山崎と共に暮らすうちに二人は愛し合うようになっていくが、時代は彼等の幸せを許す事はなく、ついに学生と機動隊が激突する11・26最終決戦の日が訪れる・・・
観劇日:2010年2月12日 ソワレ@新橋演舞場
2010年観劇振り返り感想その一。※二本共にネタバレです!
つかこうへいの遺作となった作品。
私にとって初つか作品の観劇が遺作となろうとは。
学生運動の話しなので陰欝でシリアスな舞台を想像していたのですが、意外にコミカルな場面が多かったのが驚きでした。
東幹久さんなんて、あのアデランスのダンスを披露してくれましたから(笑)
メイサちゃんに「メイサ!お前もやれ!」とダンスを強要してメイサちゃんが本気で困っていた(笑)
時事ネタの笑いが多くて、鳩○幸夫という登場人物が「小○は厄介なんだよ。」と言ったり、了いにはアバターの仮装まで出てきてびっくりです。
『鋼鉄番長』でメタルさんのアバターを観た時の既視感はこの舞台だったのか・・・
一部が一時間という短さで纏めなくてはならないからか、または台詞が長いせいなのか分かりませんが、出演者の台詞が早いし聞き取りづらかった。
ただでさえ複雑な時代・人物背景なのに、マシンガントークでもしているようなやり取りをされて、前半観客を置いてきぼりにしていた感がありました。
多分これがつか作品なのでしょうけども・・・。
また公演初日から数日経つのになぁ~と未完成な印象を受けてしまいました。
また下ネタ多用だったり、シリアスシーンとコミカルなシーンの境の無さ。
今までつか作品を観たことが無いのですがこんな感じなのでしょうか・・。
また何故美智子を崇拝する学生が居たのか、美智子が山崎を深く愛する様になったのか等、話しが端折られていたので物語の重要な部分をもう少し丁寧に描いてくれたらなぁと思いました。
私的に結構残念な事が多かったのですが、主演の黒木メイサちゃんは素晴らしかった。
彼女が全てを救うと言っても過言ではないです。
緩急の差を上手く演じ、委員長として全共闘率いて闘う姿と、一人の女性として苦悩し、そして山崎を愛する姿の演じ分けが見事でした。
またアクションは格好良く、ダンスも上手い。
美人でオーラも有るのでこれからが楽しみだなと思わせる女優さんでした。
東幹久さんは人間の弱さや欲深さ、残忍さを上手く演じられており、やや纏まりに欠けるストーリーを再びその演技で纏めあげ、ラストまで持って行く役割を果たされていたなと思いました。
山崎役の徳重さんはと言いますと…う~ん…台詞をかなり噛んでいたし、重要なシーンで台詞を間違えたり、とても残念だったなぁ。アクションもキレが無かったですし…
この作品、メイサちゃんに救われていますね。
カーテンコールでは、赤いドレス(しかもボディコン風)に着替えて登場した瞬間、「おお~」と言う歓声があがりました(笑)
カーテンコールが一番楽しかった様な気がするなぁ。
アクロバットが凄かったし、キャスト全員でのダンスも良かった。
そして馬場徹さんが格好良くて釘付けになった(笑)
最後に客席に向けてメイサちゃんが「気をつけてお帰り下さい」と言ってくれたのが嬉しかったです。
『相対的浮世絵』
作:土田英生
演出:G2
出演:平岡祐太、袴田吉彦、安田顕、内田滋、西岡徳馬
<ストーリー>
人生の曲がり角にさしかかり、それぞれにややこしい問題を抱えてしまっている岬智朗(袴田吉彦)と、高校時代の同級生、関守(安田顕)。彼らに救いの手をさしのべたのは、10数年前、高校生のときに事故で死んだはずの、彼らの同級生、遠山大介(内田滋)と岬の弟、達朗(平岡祐太)だった。
うしろめたい気持ちを抱えながら、遠山と達朗からの救いの手を頼りにするようになる二人。そこへ現れたのは、遠山、達朗と知り合いだという、自分の思い出ばかり語りたがる初老の男、野村淳(西岡徳馬※徳は旧字)。
「前田? 髪の長い子か?」
「そうそう。あいつは確かに可愛かったな。」
いつも一緒にいた高校時代の、他愛のない思い出話に盛り上がる4人。そして、彼らを見守る野村。やがて、話は……
引用:『相対的浮世絵』公式HP http://www.g2produce.com/other/soutaiteki/
観劇日 :2010年3月26日 マチネ@Bunkamuraシアターコクーン
平岡祐太初舞台、『相対的浮世絵』を観ました。
座席が選べるということで、突発的にチケット購入。
指定できたのでかなりの良席!
ど真ん中の前から5列目で凄く舞台から近かった。
お陰で各登場人物の心理を細部まで読み取る事がポイントの舞台だったので、表情が良く見える席で本当に良かったです。
高校時代、火事で死んだはずの弟・達朗と友人の遠山に十数年の時を経て再会した智朗と関。
そんな四人を見守る一風変わった謎の男・野村・・・・
火事から生き残った自分達を怨んで出てきたのではないかと二人は疑うが、どうやら違うらしい。
怨んでなどいない、助けたいんだと言うのだから逆に怖い。
智朗と関は様々な“深刻な悩み”を抱えていて、死んだ二人は彼等の問題を解決していく。ある日智郎が会社の金を使い込むという“事件”を解決すべく達郎と遠山は一日で600万という大金を用意し、“事件”を解決する
。
そんな二人の行動に監視役としてこの世に降り立った野村は「全て元通りにしろ、そうしなければ二度とこの世に出ることは出来なくなる」と告げる。
一方生き残った智郎と関の二人は蘇った二人に恐怖心と猜疑心が拭えない為、二人の真意を探るべく四人で話し合う場を設ける。
楽しかった思い出話の果てについに「あの日」の話をすることに。
あの火事の記憶を辿り、それぞれが「あの日」を語るうちに怨む気持ちを捨てる事など無理であると悟る4人。そして次第に嘘がつけなくなる智郎と関。そんな二人に「全てを元に戻さなければ自分達が消えてしまう。だから今まで“解決”してきた事を戻してほしい」と頼む達郎と遠山。
自分の人生を投げ売ってまで死んでしまった人間を救うか?
いや・・死んでしまった人間よりも今を生きている自分の人生を守る方が大切だ。
一見酷いが誰もが抱く“本音”を代表して二人が吐露しているかのようで実に人間臭く、共感出来る反面、二人と同様に罪悪感を抱いてしまった。
結局二人は自分の人生を犠牲にして死んだ二人を救うのだが、救われたはずの二人は「なんかスッキリしたよ」とあの世へ帰ってしまうのだった。
生きる者と死んだ者の相対する四人の姿はこの世の不条理と人間の欲深さを描いたまさに「浮世絵」である。
死んだ二人は復讐する為にこの世に戻ったわけではないと言っていたが、結果的には二人に復讐を果たしたような気がした。
もし、これが彼らの真の目的だったらと考えると恐ろしい・・・全く違った舞台になる。
ブラックコメディーと言うかファンタジーといも言える不思議な雰囲気の作品。
5人とも実に良い演技でしたが特に内田滋さんと安田顕さんが良かったですね。
火事の様子を語る内田滋さんの狂気を帯びた演技は圧巻。
安顕のいや~な演技も心に迫るものがあり嵌り役だなと思いました。
(おかっぱ頭も似合ってました(笑))
作・演出:つかこうへい
出演:黒木メイサ、徳重聡、舘形比呂一、矢部太郎、馬場徹、東幹久 他
<ストーリー>
全共闘の委員長に祭り上げられた東大の神林美智子は作戦の為、恋人であり作戦参謀の桂木順一郎によって美智子に好意を寄せる学生の敵・機動隊員の山崎一平のもとに送り込まれる。
山崎と共に暮らすうちに二人は愛し合うようになっていくが、時代は彼等の幸せを許す事はなく、ついに学生と機動隊が激突する11・26最終決戦の日が訪れる・・・
観劇日:2010年2月12日 ソワレ@新橋演舞場
2010年観劇振り返り感想その一。※二本共にネタバレです!
つかこうへいの遺作となった作品。
私にとって初つか作品の観劇が遺作となろうとは。
学生運動の話しなので陰欝でシリアスな舞台を想像していたのですが、意外にコミカルな場面が多かったのが驚きでした。
東幹久さんなんて、あのアデランスのダンスを披露してくれましたから(笑)
メイサちゃんに「メイサ!お前もやれ!」とダンスを強要してメイサちゃんが本気で困っていた(笑)
時事ネタの笑いが多くて、鳩○幸夫という登場人物が「小○は厄介なんだよ。」と言ったり、了いにはアバターの仮装まで出てきてびっくりです。
『鋼鉄番長』でメタルさんのアバターを観た時の既視感はこの舞台だったのか・・・
一部が一時間という短さで纏めなくてはならないからか、または台詞が長いせいなのか分かりませんが、出演者の台詞が早いし聞き取りづらかった。
ただでさえ複雑な時代・人物背景なのに、マシンガントークでもしているようなやり取りをされて、前半観客を置いてきぼりにしていた感がありました。
多分これがつか作品なのでしょうけども・・・。
また公演初日から数日経つのになぁ~と未完成な印象を受けてしまいました。
また下ネタ多用だったり、シリアスシーンとコミカルなシーンの境の無さ。
今までつか作品を観たことが無いのですがこんな感じなのでしょうか・・。
また何故美智子を崇拝する学生が居たのか、美智子が山崎を深く愛する様になったのか等、話しが端折られていたので物語の重要な部分をもう少し丁寧に描いてくれたらなぁと思いました。
私的に結構残念な事が多かったのですが、主演の黒木メイサちゃんは素晴らしかった。
彼女が全てを救うと言っても過言ではないです。
緩急の差を上手く演じ、委員長として全共闘率いて闘う姿と、一人の女性として苦悩し、そして山崎を愛する姿の演じ分けが見事でした。
またアクションは格好良く、ダンスも上手い。
美人でオーラも有るのでこれからが楽しみだなと思わせる女優さんでした。
東幹久さんは人間の弱さや欲深さ、残忍さを上手く演じられており、やや纏まりに欠けるストーリーを再びその演技で纏めあげ、ラストまで持って行く役割を果たされていたなと思いました。
山崎役の徳重さんはと言いますと…う~ん…台詞をかなり噛んでいたし、重要なシーンで台詞を間違えたり、とても残念だったなぁ。アクションもキレが無かったですし…
この作品、メイサちゃんに救われていますね。
カーテンコールでは、赤いドレス(しかもボディコン風)に着替えて登場した瞬間、「おお~」と言う歓声があがりました(笑)
カーテンコールが一番楽しかった様な気がするなぁ。
アクロバットが凄かったし、キャスト全員でのダンスも良かった。
そして馬場徹さんが格好良くて釘付けになった(笑)
最後に客席に向けてメイサちゃんが「気をつけてお帰り下さい」と言ってくれたのが嬉しかったです。
『相対的浮世絵』
作:土田英生
演出:G2
出演:平岡祐太、袴田吉彦、安田顕、内田滋、西岡徳馬
<ストーリー>
人生の曲がり角にさしかかり、それぞれにややこしい問題を抱えてしまっている岬智朗(袴田吉彦)と、高校時代の同級生、関守(安田顕)。彼らに救いの手をさしのべたのは、10数年前、高校生のときに事故で死んだはずの、彼らの同級生、遠山大介(内田滋)と岬の弟、達朗(平岡祐太)だった。
うしろめたい気持ちを抱えながら、遠山と達朗からの救いの手を頼りにするようになる二人。そこへ現れたのは、遠山、達朗と知り合いだという、自分の思い出ばかり語りたがる初老の男、野村淳(西岡徳馬※徳は旧字)。
「前田? 髪の長い子か?」
「そうそう。あいつは確かに可愛かったな。」
いつも一緒にいた高校時代の、他愛のない思い出話に盛り上がる4人。そして、彼らを見守る野村。やがて、話は……
引用:『相対的浮世絵』公式HP http://www.g2produce.com/other/soutaiteki/
観劇日 :2010年3月26日 マチネ@Bunkamuraシアターコクーン
平岡祐太初舞台、『相対的浮世絵』を観ました。
座席が選べるということで、突発的にチケット購入。
指定できたのでかなりの良席!
ど真ん中の前から5列目で凄く舞台から近かった。
お陰で各登場人物の心理を細部まで読み取る事がポイントの舞台だったので、表情が良く見える席で本当に良かったです。
高校時代、火事で死んだはずの弟・達朗と友人の遠山に十数年の時を経て再会した智朗と関。
そんな四人を見守る一風変わった謎の男・野村・・・・
火事から生き残った自分達を怨んで出てきたのではないかと二人は疑うが、どうやら違うらしい。
怨んでなどいない、助けたいんだと言うのだから逆に怖い。
智朗と関は様々な“深刻な悩み”を抱えていて、死んだ二人は彼等の問題を解決していく。ある日智郎が会社の金を使い込むという“事件”を解決すべく達郎と遠山は一日で600万という大金を用意し、“事件”を解決する
。
そんな二人の行動に監視役としてこの世に降り立った野村は「全て元通りにしろ、そうしなければ二度とこの世に出ることは出来なくなる」と告げる。
一方生き残った智郎と関の二人は蘇った二人に恐怖心と猜疑心が拭えない為、二人の真意を探るべく四人で話し合う場を設ける。
楽しかった思い出話の果てについに「あの日」の話をすることに。
あの火事の記憶を辿り、それぞれが「あの日」を語るうちに怨む気持ちを捨てる事など無理であると悟る4人。そして次第に嘘がつけなくなる智郎と関。そんな二人に「全てを元に戻さなければ自分達が消えてしまう。だから今まで“解決”してきた事を戻してほしい」と頼む達郎と遠山。
自分の人生を投げ売ってまで死んでしまった人間を救うか?
いや・・死んでしまった人間よりも今を生きている自分の人生を守る方が大切だ。
一見酷いが誰もが抱く“本音”を代表して二人が吐露しているかのようで実に人間臭く、共感出来る反面、二人と同様に罪悪感を抱いてしまった。
結局二人は自分の人生を犠牲にして死んだ二人を救うのだが、救われたはずの二人は「なんかスッキリしたよ」とあの世へ帰ってしまうのだった。
生きる者と死んだ者の相対する四人の姿はこの世の不条理と人間の欲深さを描いたまさに「浮世絵」である。
死んだ二人は復讐する為にこの世に戻ったわけではないと言っていたが、結果的には二人に復讐を果たしたような気がした。
もし、これが彼らの真の目的だったらと考えると恐ろしい・・・全く違った舞台になる。
ブラックコメディーと言うかファンタジーといも言える不思議な雰囲気の作品。
5人とも実に良い演技でしたが特に内田滋さんと安田顕さんが良かったですね。
火事の様子を語る内田滋さんの狂気を帯びた演技は圧巻。
安顕のいや~な演技も心に迫るものがあり嵌り役だなと思いました。
(おかっぱ頭も似合ってました(笑))
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