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観劇 『At home at the zoo』

作:エドワード・オルビー
演出:千葉哲也
出演:堤真一、小泉今日子、大森南朋

鑑賞日:2010年7月7日 ソワレ @世田谷シアタートラム 


< Story >
Ⅰ― 出版社に勤めるピーターは妻と娘二人、そして猫とインコと暮らす平凡だが幸せな家庭を持っている。
自社の本を読むのに夢中なピーターに妻のアンはさらりと一言。「話があるんだけど」・・・・

Ⅱ― 公演のベンチで本を読むピーターに突然「動物園に行ってきたんだ」と声をかける青年。
彼の名はジェリー、一方的に話をする彼の話を聞くうちに・・・







堤さんのお誕生日の日に観に行ってきました。
(当日の我がサイドストーリーはこちら


バースデイサプライズがカーテンコール時にあるのかなとちょっと期待していたのですが、
何もありませんでした^_^;
舞台裏ではお祝いされていたのかもしれませんね。


7月8日にはあの踊る大捜査線の本広監督がいらしてたようですよ。
一日違い、惜しい!


本公演は二時間休憩無しで二部構成。
休憩無しですが、舞台の世界に引き込まれて苦ではありませんでした。

ネタばれ無しで書こうと思いまいたが、考えを整理する為、ここからはネタバレありで書いています。


! 以下ネタばれあり。未見の方はご注意ください。



第一幕:ホームライフ   ピーター(堤真一) + アン (小泉今日子)


真っ暗な舞台の中央は大きな穴が。
深い深い闇がそこにある。そんな空間に怪しげな雰囲気を纏ったアンがひょっこりドアからその穴をのぞき見るように顔を出し、また戻っていく。

この暗い穴の底からソファーに座り読書をしているピーターがせり上がってくる。
先ほどまで真っ暗だった舞台が一瞬にしてリビングへ。

実に上手い演出。
この舞台は舞台装置そのものが作品のテーマであり、各登場人物の深層心理を表しています。
この大きな暗い穴こそこの家庭が実は危ういという事を表していると共に、
妻がこれからピーターに打ち明ける本音とピーターの心に潜む無自覚の負の感情を表現したものではないかと解釈。



出版社の役員という地位につき、妻アンと娘、ペットの猫とインコと穏やかに暮らしているピーター。
彼の生活はまるで絵に描いたようでまさに“アットホーム”である。

穏やかな日曜日、いつものようにリビングで読書をしていると、妻アンがリビングにやってきてピーターに声をかける。


「話があるんだけど。」


突然妻からこんな事を言われては穏やかではいられない、恐ろしく落ち着かない気持ちになるはずだ。

遠まわしに、たわいもない会話を繰り返し、やがて彼女の口からでた言葉に困惑するピーター。
夫を愛しているし、今の暮らしも幸せで満足はしている、してはいるのだが、満たされない。
もっともっとと求めるのは人の性。

平凡で単調なこの暮らしから一歩踏み出したい、それには何か刺激が必要である。
そこでアンがピーターに求めた物は“カオス”であり、“動物になれ”“痛みがほしい”ということである。

常識人のピーターは何が何だか理解できない。
挙句の果てに彼女の口から卑猥な言葉がポンポン出てくるのだからどうしたものか・・・


意味を履き違えたピーターも過激な話を動きつきで話し始める始末・・

お二人とも凄く過激なセリフをマシンガンの如く言うので驚きました。
凄い露骨なのは夫婦として会話をしているという証なのでしょうし、舞台が自由の国アメリカだからなのでしょうか。

欲望のぶつかり合いとも取れるし滑稽でどこか虚しさもあるこの会話。
笑いの中にある暗い影が何とも怖い。

次第にピーターの別の顔を知ることになるのだが、アンはまるで興味がない。
男と女の違いが垣間見える瞬間、次第に二人の中で狂気が生まれ始める。

感情の動きをテーブルの上にある振り子がその異変を感じ取ったのか動き始める。

一幕は二幕目への伏線が複数。
アンの「動物になって」という彼女の言葉、彼女の求めるものが自分にはないと悟ったピーターは心に深い空虚感を抱くとこになるのですが、これをまた舞台装置で表現。
一幕目から二幕目に移行する際にマンホールサイズの穴に肩を落とし、うつむき影かかった堤さんが吸い込まれていくんです。


第二幕 : 動物園物語  ピーター (堤真一) + ジェリー (大森南朋) 



第一幕から第二幕へ移行するの演出もまた秀逸。
一幕終わりに穴へと沈んでいった堤さんが今度は穴から顔を出し這い上がってくるのですが、
暗闇の中顔だけ照明が当り、その映し出された表情が先ほどまで観た温和なピーターの表情ではなく、
どこか恐ろしい不吉な表情をしているんです。
堤さん、流石ですね~ちょっとぞっとしましたもの。

公演のベンチで読書をしていると突然見知らぬ青年から「動物園に行ってきた」と声をかけられる。
基本ピーターというキャラクターは受け身なのですが、二幕目は大森南朋さん演じるジェリーを吸収するかのごとく完全に受け身です。

ピーターとジェリーは全く正反対。

生活環境の違いが服装に表れており、ジェリーのセリフの端々にピーターとの違いを窺い知ることができます。
ちょっとおかしい青年ジェリーの話を何故ピーターは聞いてしまうのか。
それは全て一幕のアンのあの「動物になってほしい」から来ていると思います。

なぜならジェリーはまさに妻が求める動物的な人間だったから。

自分にない物を持つジェリーの話を聞くとで自分も動物になる事が出来、心の空洞をを埋めることが、妻に認められることが出来るのではないかという考えが無自覚的にあったのだと思うのです。

また深い孤独を抱えて暮らすジェリーはピーターに近づきたい気持から愛嬌ある仕草と話し方をしてくる。
ジェリーは犬の話をしますが、ジェリーこそ犬ではないかと思ってしまう。
彼は狂気の人の様だけど、実はそうではなく、ただ孤独なだけ。
そして彼もアンと同様に心をもっと満たしたい、現状から抜け出したいという気持ち強い。



「動物園に行ってきた」


ジェリーは本当に行ったのか?いや行っていないのではないか。
彼の言う動物園はアンの「動物になって」に掛るものであり、
その対比としてジェリーはピーターに「あんたは植物だ」と言うわけです。


動物と人間の違いとは何か。
それは理性ではないか。

常識人のピーターは実に理性がきく人であるし、
人は理性という名の檻で暮らしているからこそ秩序が保たれているのだと思う。

しかしそんな世界にずっといると退屈してしまうのも人間。
平和が続くと正反対の世界に興味を持ってしまうのも人間の性で、抑制された負の感情を理性と言う名の檻から出て自由に吐き出したいと思ったのがアンとジェリーなのではないか。


動物園とは私たちが生きるこの現代社会。
飼いならされた動物が自然界に放り出されたらどうなるか、自分の力で生きていけるのか?

そこに生み出されたカオスにどう対処すのか。
そもそもそんなカオスに満ちた世界は幸せなのか。

ジェリーの話を聞くうちにピーターの中に眠る負の感情が殻を破るその時、
日常生活に潜む狂気が表に出て、やがてあの結末を迎える。


ピーターは植物から動物になった・・・しかしそれで彼は幸せか?

あのままアンの待つ家に帰り、先程の出来ごとをアンに話したところで
彼女が待ち望む“カオス”を与えたところで彼女は満たされるのか?


私はノーだと思う。
動物園の動物は檻から外にでたら生きてはいけないと思うから。


不条理に満ちた世界の縮図のようなこの二幕。
こんなに長々と感想を書いてしまう程の奥が深い味わいのある舞台でした。




追記は各役者さんと雑感!







『バンデラスと憂鬱なコーヒー』以来の生・堤さんだったわけですが、相変わらずかっこよかった・・!
劇中何度か髪をかきあげていたのですが、その仕草が凄くかっこ良かったです。

また『孤高のメス』で体重減量されたからなのか細かったです。
足首なんて細くて折れそうでした(笑)

今回の舞台の堤さんは何だか『フライ・ダディ・フライ』の鈴木さんのようなキャラで可愛良かったです。
(46歳の方に可愛いと言っていいのかどうか(^^ゞ)


一幕での小泉今日子さんとの会話はナチュラルで本当に夫婦の様でした。
小泉今日子さんは小柄で可愛らしい方でしたが、そんな小泉さんの口から出るセリフが凄くて
「キョンキョンがこんな事言うなんて!!」と驚きました。
踊るより色々な意味で怖かった(笑)


大森南朋さんはTVで観たままでしたね~
堤さんより背が高いんですね。
まだ30代なのにあの渋さは何なんでしょう。貫録もありました。
ジェリーが時折見せる狂気の顔が凄く上手かったです。
感情の起伏が激しいジェリーを難なく、そして台本11ページ分の長セリフをこなしてしまうとは恐るべし。

舞台終盤、帰ろうとするピーターを凄い勢いでジェリーが引き留めるシーンで、
大森さんが堤さんの胸倉つかんで引き寄せた瞬間、勢い余ったのか唇と唇が触れ合っておりました(笑)
堤さん、目を見開いていたなぁ・・・そして客席がざわついたなぁ(笑)

その後も大森さんが堤さんに浣腸を何回もしたりとはじけたお二方のお芝居は必見です!

・・・と変な方向に(笑)


また観たいと思わせる舞台でしたが、DVD化するのだろうか。
『バンデラス~』がなってないから危ういなぁ^_^;

後からじわじわくる舞台なのでもう一度観たいです。

何だろうこの中毒感。



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テーマ : 演劇・舞台
ジャンル : アイドル・芸能

コメント

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はじめまして☆

なんかすごく今更なコメントすいません(>_<)

わたしも堤さん大好きで「At Home At The Zoo」の感想探してたらここにたどり着きました☆

「At Home~」は行けなかったんですが
感想見ているだけでその舞台の雰囲気がつたわってきました(^^)/

ありがとうございます♪

またブログに遊びにきますねー!!

>えりさん

はじめまして!
ご訪問頂き有難うございます^^
堤さんファンの方からコメント頂けて嬉しいです♪

「At home~」は見ごたえある舞台でした。
堤さんの静と動の演技が素晴らしかったです。
大森南朋さんと競演した第二幕は衝撃でした。

またいつでもいらして下さい^^



プロフィール

るい

Author:るい
【好きな俳優】
堺雅人、堤真一(特にこの二人が好き!)、大沢たかお、織田裕二、天海祐希、深津絵里

【舞台】
劇団☆新感線に嵌まってます!
ここ最近毎月観劇。

観劇予定: 時計仕掛けのオレンジ / テンペスト / シェイプオブシングス / NODA MAP・南へ / 劇団新感線・港町純情オセロ 


【映画】
洋画、邦画、韓国、香港とジャンル問わず何でも観てます。
最近は邦画鑑賞率高いです。


【ドラマ】
踊る大捜査線のファンでNW捜査員。

SP-警視庁警備部警護課第四係-が心底好き。


【小説】
佐々木譲、今野敏、貫井徳郎、雫井脩介、横山秀雄、海堂尊を好んで読みます。


■物凄いマイペースにやっているので不定期更新です。
なるべく観たものは全て感想を書きたいなと思っていますが
書かない or かなり時間が経ってから書くこともあります。

■映画、舞台、好きな俳優、ドラマの話が多めです。
感想はあくまで私個人のものなので「あ~この人はこう感じたんだ」程度に受け止めてください。



■TB、コメントお気軽に♪
(但し記事内容と関係のない物等はこちらの判断で削除させて頂きます。)
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「踊る大捜査線THE MOVIE3」2010年7月3日公開!



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