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『クワイエット・ファミリー』   恐ろしいけれど可笑しい‘ブラックなペンション’へようこそ。

クワイエット・ファミリー [DVD]クワイエット・ファミリー [DVD]
(2000/12/21)
コ・ホギョン

商品詳細を見る

出演■ソン・ガンホ、チェ・ミンシク、パク・イナン、コ・ホギョン、イ・ユンスン、ナ・ムニ  他・・・・・

監督■キム・ジウン






<ストーリー>

 父さんがリストラされて一家はソウル郊外に都落ち。商売なんて柄じゃないのにペンションを開業することに。ところが客は一向に現れない。ようやく、やってきた客は、翌朝死体となって発見される。悪い噂が立っては商売に影響するからと家族は死体を山に埋めてしまう。  ところが、二組目の客だったカップルも心中自殺を図り、一家はまたしても死体を埋葬するハメに。こうして次々訪れる客が変死するうちに、家族の穴掘りはすっかり上達してしまう…。



1998年  韓国



(「映画生活 Gaga」  より引用。)







 『箪笥』、『反則王』、『甘い人生』のキム・ジウン監督の初監督作品。ずっと観たいと思っていましたが近所のレンタルショップにDVDが置かれず観る事が出来ませんでしたが、ようやく置かれたので念願の観賞!初作にもかかわらずソン・ガンホとチェ・ミンシクが出ていたりと今考えると豪華ですね。



新たな生活をはじめようと山奥にあるペンションに来た一家。ペンションを開業したものの客は来ず、それどころか怪しげな老婆に不吉な言葉を残される始末・・・。この老婆登場シーンまで観て「これは呪いの家とかで、この作品はホラー映画かな?」と思ったのですが違いました。


本作は一見ホラーっぽいのですがブラックコメディーです。幽霊が出てくるわけでもなく、別に呪われたペンションと言うわけでもありません。まぁ・・・ある意味呪われているともいえますが(笑)




 保身の為に自殺したカップルを家族で埋葬してしまったことから起こる不幸の数々。一家のペンションには変わった客ばかりが訪れ、そして客が来るたびに死体が増えていく。そして穴掘りも上手くなっていく(笑)



もうほんとこの家呪われてるんじゃないか!?と思うほど事態は悪い方、悪い方へと向かっていくわけです。残酷な描写があるにもかかわらず何故か可笑しい。腹を抱ええ笑うほど面白いと言うわけではありませんが‘人の不幸は密の味’という言葉があるように一家の姿が滑稽で、一家がしている事は‘悪い事’なのに知らず知らずのうちに応援しているから不思議です。韓国らしいブラックコメディー映画です。



 応援したくなってしまうのは一家が良いキャラ揃いだからでしょう。父親(パク・イヌァン)、母親(ナ・ムニ)、長男(ソン・ガンホ)、叔父(チェ・ミンシク)、長女(イ・ユンソン)、末の娘(コ・ホギョン)と全員が魅力的で家族のやり取りがコミカルで、作品を引き立てます。



 またどうしようもない長男とどこか抜けている叔父。この二人の気が抜けたようなやり取りは観ていて楽しい。ソン・ガンホはこういったどうしようもないグウタラ田舎男をやらせたら右に出るものはいないですね。今回の役はかなり嵌っています。そして長女と末娘役の二人が可愛らしいのも注目(笑)また、チェ・ミンシクの頼れそうで頼れない(?)抜けている叔父役も今までのイメージとは違い新鮮。本作のあとに『シュリ』(『シュリ』は1999年。本作のソン・ガンホと『シュリ』のソン・ガンホは別人のように思えるほど体系が違う事も注目。かなり減量したそうです。)を観ると二人の変わりように驚くと思います。


 作品全体としては独特の世界観が広がると共に全編漫画っぽく、ユーモアセンスは監督がこの作品の後に撮ったコメディー『反則王』にやや劣るかなという印象。テンポも途中でやや悪くなった感がありましたがラストはタイトルにぴったりな上手い終わり方だったので星五つ採点で、3あたりといった作品でしょうか。



音楽やペンションの作りなどがなかなか良くて、ペンションの壁紙などは『箪笥』に通じるものがあったり、コ・ホギョンが『反則王』にカメオ出演していたりとキム・ジウン監督作品に繋がるものがあるのでそういった部分でも楽しめるかと思います。




クワイエット・ファミリー@映画生活

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テーマ : 韓国映画
ジャンル : 映画

『王の男』   視覚的癒しは‘美’、心の癒しは‘笑’。抗う者達が辿る茨道。

出演■カム・ウソン、イ・ジュンギ、チョン・ジニョン、カン・ソンヨン

監督■イ・ジュンイク







<ストーリー>

 16世紀初頭、漢陽にやってきた旅芸人チャンセンと相棒の女形コンギル。都で時の王ヨンサングンが、妓生上がりの官女と日夜遊び呆けている噂を聞きつけた2人は、芸人仲間と宮廷を皮肉った芝居を始める。興行は人気を博すものの、一座は侮辱罪で逮捕されてしまう。重臣に「王を笑わせることができれば、侮辱ではない」と反論したチャンセンたちは、死をかけて王の前で芸を披露する。彼らの芸は王を魅了することができるのか…。



2005年  韓国


(「映画生活 Gaga」  より引用) 
 







 
ポン・ジュノ監督の『グエムル―漢江の怪物―』に抜かれるまで韓国歴代動員数№1だった作品で、韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞では最優秀作品賞など史上最多の10部門を受賞。。韓国で人気がある劇の映画化で、実在した史上最悪とまで言われる暴君ヨンサングンを題材に史実とフィクションを織り交ぜたストーリー。そして豪華絢爛な衣装やセット、色鮮やかな映像で描く時代劇。



 この映画の主人公は実在した王ヨンサングンではなく芸人。身分が低く、苦しい生活を強いられている者達の視点で描かれていることが本作の魅力の一つでしょう。チャンセンとコンギルは固い絆で結ばれ、互いを理解し思いやる関係。そんな二人が自由と希望ある世界を求めて都に行く。


 そこで他の芸人と共に王や宮廷を皮肉った芸を披露し都の人々の心を掴むが侮辱罪で捕まってしまう。「王を笑わせたら侮辱じゃない」というチャンセンに重臣が耳を傾け、彼らにチャンスを与える・・・


 彼らの芸はほとんど下ネタです。内容は大体がタイトルの通りなのですが、ストレートな同性愛描写があるわけではなく、王とコンギル、そしてチャンセンの関係はあくまでプラトニックなものとして描かれています。宮廷内の陰謀も描かれているものの、ドロドロ感はさほどなかったので予告で抱いた印象とは違い全体的にスッキリとした印象を受けました・・これは意外でした。



 
元になった劇では同性愛描写が多い(というかそんなお話し)だそうですが、本作ではそういった部分を取り払い、精神的な繋がりを強く描く演出をしています。それは良いのですが、しかしですね・・・・パンフレットで「同性愛ではない」と書かれているもののそのように見えてしまう。タイトルが『王の男』(因みに、『王の男』というタイトルには「男と女という性別の違いによる対比を超えたところで人間の価値を表現しようと思った」とパンフレットのインタビューで監督が答えています。)ですし・・・。


 確かに精神的な繋がりを前面に出した作りにしている事によって三人が抱く孤独感や哀しみ抗いたいが抗う力の無い者’同士の混沌とした心情が伝わります。この点、とても良かったです。特に終盤のコンギルの揺れる心情、チャンセンの思い、王の乱心、ノクスの王への思いなど、各登場人物の激しい思いのぶつかり合いがクライマックスシーンを盛り上げていました。


 しかし精神的繋がりを重視して描かれた事により、「いや、どう考えてもこの三人は・・・」という描写が随所にある為何だかバランスが悪いと言うか、三人の感情を始めあらゆる面が中途半端になってしまったかなと言った印象を受けました。一層の事、劇同様にそういった部分をしっかりと描いても良かったのではと思います(といっても絡みシーンとかはいらないです(笑))。その方がより王とコンギル、そしてチャンセン、彼らを取り巻く人々の感情の波に心地よく飲まれた様な気がしました。



 本作のメインはヨンサングン、コンギル、チャンセンの三人。先述のように王ではなく芸人二人が主人公なのですが、暴君とされるヨンサングンを一人の人間として描いている事が興味深いです。というか妙にヨンサングンが一番感情移入しやすいキャラクターでした。


 なぜヨンサングンが暴君となったのか、彼の生い立ちや彼の周りの人間との関係等が主人公二人よりも惹かれました。『王の男』と言うタイトル、深読みしすぎなのですが『王の男=コンギル』の他に『王の男=ヨンサングン』でもある様な気がしました・・・というのもヨンサングンは‘王’というものに縛られた男であると感じたからです。


 幼いころに母を無くし、王となった今でも自分の存在は認められずに何かと父と比べられる哀れな王。なので、最初にコンギルとチャンセンの芸を見てそれまでの厳しい表情の王が噴出す姿は非常に印象深い。


 本作は実在した人物を題材にしている事もあり、韓国の歴史を知っていた方が楽しめそうです。また、ヨンサングンの後の王として擁立されたのがヨンサングンの異母弟であるチュンジョン(チャングムが仕えている王)だそうなので、私は未見なのですが、イ・ヨンエ主演のドラマ『宮廷女官チャングム』を観ていると良さそうですね。


 

 

 また、「その美しさが歴史を狂わせる」というコピーにあるようにコンギルを‘美しい’と取るか取らないかでも結構評価が分かれるような気がしますね。やはり本作のキーはコンギルなので。「その‘美しさが’・・」というよりも「その‘存在が’・・」といえる気が、大好きな芸をしたいと願い、自由を求めるコンギルは特に何もしていないのに彼を取り巻く人々、そして彼自身の運命も過酷なものになってしまうのですからね。パンフレットに「コンギルは悪女である」と作家・岩井志麻子氏が書いていますが本当にその通り。 しかしこうした美青年って切れ目の設定(というのか。)が多いですね~確かに切れ長の目=妖艶ということなのか。何故なのでしょうね。




 余談ですが、本作を観て思い浮かんだのが大島渚監督の『御法度』(※御法度 allcinema ONLINE と、及川光博。コンギルを観て「ミッチーだ・・・。」と思ってしまいました(笑)。





王の男@映画生活

『美しい夜、残酷な朝  / 【cut】 』   

 【Cut】 (韓国)

出演■イ・ビョンホン((『JSA』)、カン・へジョン(『オールドボーイ』)、イム・ウォニ(『シルミド』)

監督■パク・チャヌク(『JSA』『復讐者に憐れみを』『オールドボーイ』『親切なクムジャさん』)





<ストーリー>

 人気映画監督リュ・ジホがある日、帰宅すると、見知らぬ男が妻を人質にして彼の帰宅を待っていた。男に究極の選択を迫られていく中で、ジホは隠していた素顔をさらけだしていく。


Amazon.co.jp  美しい夜、残酷な朝  より引用。)






あのパク・チャヌク監督、イ・ビョンホン、カン・へジョンが織り成す『オールドボーイ』に似た復讐と憎悪の物語。


ストーリーや色鮮やかなセット、独特のカメラワークに異様な雰囲気と不条理さは‘『オールドボーイ』再び’といった印象を持つのですが、本作は『オールドボーイ』とは似ているようで似ていない、また別の‘復讐モノ’となっています。



イ・ビョンホンが演じる主人公は名声と富を手にした映画監督。彼の妻も有名なピアニストとまさに人生の成功者。しかしそんな彼が成功者としていられるのもその日で終わり。何者かに殴られ、意識を失った彼が目覚めて見るその風景は彼が先ほどまで撮っていた異様な映画の世界にも似ている…と同時に何かがおかしい。

よく見るとピアノに指を固定され、ピアノ線で磔になっているような姿をした妻と見知らぬ男がいたのだった。


?体中にピアノ線が張りめぐらされ、天井に向かって光輪のような形でピアノ線が延びている様は残酷で恐ろしくもあり、どこかアートのような美しさを持っている。
この作品にはこのように‘残酷さと恐怖と美しさの融合’がセットやカメラワーク、冷ややかであるが熱さがある不思議な雰囲気など随所に見られる。まさに‘パク・チャヌクワールド’が展開されているのです。



ここには可愛らしいカン・へジョンもかっこいいイ・ビョンホンも存在しません。


イ・ビョンホンはこんな事するの?と思う演技を見せてくれますし(ああいった演技もできるのか。と笑うと共にさすがだなと関心。)、カン・へジョンにいたってはドギツイ化粧を施した顔が涙でボロボロに崩れ、「あの可愛らしい『トンマッコルへようこそ』のカン・へジョン何処へ・・・」といった具合。

二人を捕らえた男には『シルミド』でも存在感があったイム・ウォニ。変質的キャラクターに嵌っています。彼が時折見せるコミカルな仕草が彼らの置かれている恐ろしい現状と相反するものである。しかし、そのコミカルさがかえって恐怖感と不条理さを浮き彫りにさせ、どこか別世界に観客を誘う。

 極限状態に陥った人間の滑稽で醜悪な姿を彼らを捕らえた男によって‘撮られている’かのようです。

 監督である主人公がいつも言う「カット」の言葉はかからないこの生き地獄を終わらせるには様々なモノを“カット(切る)”しなければならない。故に劇中に見られる“切る”という行いはどこか象徴的である。


 また『オールドボーイ』で見られた漫画的演出が本作では多用され、鮮やかな色彩と、とても有り得ない主人公達の姿によって、この一夜の出来事が現実なのか、それとも夢なのか判断し難い作りになっている。

 


 まさにパク・チャヌク監督が描く“美しく残酷な不条理世界、ダークファンタジーとも言える作品。



 『オールドボーイ』が気に入った!という方にお勧めです。この作品も万人受けはしないでしょう…『オールドボーイ』よりも描写がきついですしね(^^ゞ


 



●他二作品のレビューはこちら。

『ロストメモリーズ』‘if・・’書き換えられた歴史。チャン・ドンゴン×仲村トオルのSFアクション

ワーナー・ホーム・ビデオ
ロスト・メモリーズ

出演■チャン・ドンゴン、仲村トオル、光石研、吉村美紀、今村昌平

監督■イ・シミョン






<ストーリー>

 1909年、ハルピンでの伊藤博文暗殺が未遂に終わった時、日韓の歴史は大きく捻じ曲げられた。日本は第二次大戦でアメリカと連合し、原爆はベルリンに投下。東アジアは日本の領土として併合され、2009年、ソウルは日本第三の都市として繁栄を極めていた。そんな折、武装集団による美術展襲撃テロが発生。犯人グループは“不令鮮人”と呼ばれる朝鮮独立の闘士たちだった。日本特殊捜査局に所属する日本人・西郷と朝鮮系日本人・坂本は、銃撃戦の末に事件を鎮圧するが、彼らが美術展を狙った動機について疑念を深めてゆく…。




2001年  日本・韓国

(「映画生活」 よ引用)





  ハルピンでの伊藤博文暗殺が失敗し、その結果日本の領土となった朝鮮半島が舞台。歴史の‘If’ものです。この発想は奇抜であるし、日韓の歴史を再認識する。こういった互いの歴史について、しかもSFタッチに描くという新鮮さと、映画にしてしまうというパワーはいいと思うのですが、結論かいうと期待とは裏腹の作品でした。



 というのもストーリー展開、アクションなどが中途半端に思えたのです。


 テロ鎮圧の描写など迫力あるアクションが続くのですが、アクションの派手さが映画の中では活きていおらず、今ひとつテンポが悪い。中盤までは「これは映画なの?」と思ってしまうほどで映画を見ているというよりもドラマを見ている感覚になりました。


 坂本(チャン・ドンゴン)と西郷(仲村トオル)が(・・・・二人の名前はやはり西郷隆盛と坂本竜馬から取ったのだろうか??)所属する日本特殊捜査局が通称「JBI」なのがなんだか「FBIの真似ですか(笑)」とパロディっぽく感じてしまいいまいち乗れず・・・(-_-;)


 この坂本と西郷の二人がテロ組織“不令鮮人”を追ううちに歴史に隠された真実を知ることになるのですが前半はサスペンスアクションといった具合にアクションが多く、二人の関係を描くのがメインといえテンポは悪いが楽しめました。


 ただ二人の人物描写、他の登場人物の心理描写が甘く感情移入が難しいのが残念。もう少し二人の心理を丁寧に描いていたならばラストがより深遠になったような気がしました。


  本作は序盤から中盤まではサスペンスアクション作品といえる作りになっているのですが、突然SFファンタジー色が強くなり、予想していなかった展開に驚く・・・「え?こういう話だったのか・・」と^^;


 しかしこのSFファンタジー展開になってからラストまではテンポがよくなり‘映画に戻った’といえ、前半では乗れなかったのですが中盤からラストまでは十分に楽しめ、乗れました。



 韓国では当時「売国映画か!?愛国映画か!?」との論議となったそうですが、う~ん・・・私は愛国映画ではないかと思いますね。ラストがまさにそういった印象をうけ、やはり近くて遠い国であるのだなと思いました。しかし、この作品が合作であるというのが意味があるような気がします。


 本作は日韓の歴史、韓国併合という重いテーマを扱っているのですが、歴史モノというよりも娯楽作品という見方が相応しい作品であると思いました。


 劇中の日本の描写は『パールハーバー』の日本軍会議シーンに通じるものがあったり、「FBI」ならぬ「JBI」が登場したりと突っ込みどころ満載になっていたり、日韓の書き換えられた歴史という奇抜な発想など面白くなる要素があったもののテンポが悪く活かし切れなかったのが残念。


 しかしクライマックスシーンでは手に汗握る異様な緊張感が漂い、そして日本人であるが故に複雑な心境になりました。このシーンの他にもところどころは良いので勿体無いですね。



 本作ではチャン・ドンゴンはじめ韓国の俳優たちが日本語の台詞が多いのが見所。チャン・ドンゴンの日本語は最初聞いた時チョット・・・と思ってしまいました(笑;)頑張っていましたが仕方ないですかね~(^^ゞ仲村トオルさんにテープに台詞を吹き込んでもらって日本語を勉強したそうです。


 因みに仲村トオルさんは韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞助演男優賞受賞しました。本作の仲村トオルさんの演技がよかったと思うので納得。








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ロスト・メモリーズ@映画生活


『二重スパイ』   揺ぎない忠誠・・・・国家に翻弄された男女の数奇な運命。

日活
二重スパイ

出演■ハン・ソッキュ、コ・ソヨン、チョン・ホジン、ソン・ジェホ、イ・ファンジュン

監督■キム・ヒョンジョン






<ストーリー>

 1980年、冷戦下の東ベルリン。追っ手をかわし検問所を抜けるひとりの男がいた。男の名はイム・ビョンホ(ハン・ソッキュ)。北からの亡命者を装った工作員だった。ビョンホは厳しい取り調べを受けるが、次第に韓国情報部の信頼を得ることに成功。2年後にはスパイ活動を受け持つ国家安全企画部の正式な要員になる。そのころ彼に北からの指令が下った。連絡員の名はユン・スミ(コ・ソヨン)、ラジオの女性アナウンサーだ。しかし2人が恋に落ちたことから、運命は変わり始める…。



2002年  韓国


(「映画生活」 より引用)






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 韓国の俳優で好きな俳優は?と聞かれたらペ・ユンジュン、クォン・サンウといった所謂‘韓流スター’ではなく、私は「ハン・ソッキュ」と答える(ソン・ガンホやユ・ジテ、チョン・ジヒョン等も好きですが。)。ハン・ソッキュはこう言っては失礼ですが俗に言う‘イケメン’ではないですし、若手でもない。しかしそんな事以上に魅力ある俳優であると思います。彼は‘演技で魅せる俳優’なんです。

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 そんなハン・ソッキュの『カル』以来3年ぶりの映画出演作となったのが本作『二重スパイ。3年ぶりの出演、共演は『エンジェルスノー』のコ・ソヨン、シュリ』と同様南北問題を扱った作品ということで、かなりの期待が寄せられていた作品なのですが・・・



 ニュースでよく目にする北朝鮮軍事パレードから始まる。兵士たちが90度に足をあげ、乱れる事のないあの異様な雰囲気の行進の中に北朝鮮の軍服を着たハン・ソッキュの姿が・・・・。


 今回、ハン・ソッキュは『シュリ』の時とは異なり、‘南’の人間ではなく‘北’の人間を演じている。軍事パレードの中にハン・ソッキュを入れることで、北朝鮮の人間である事をすぐに観客が認識できるようにされていると共に、この一糸乱れぬ兵士たちの姿で「どのような国か」を印象付けている。軍事パレードの映像を入れるとは・・・。またハン・ソッキュが演じる主人公・イム・ビョンホの忠誠心もこのほんの数分の映像で分かるようになっているのはなかなかだなと思いました。


 東ベルリンに銃声が響く。一人の男が必至に逃げている。男はボロボロになりながらもついにゲートを越える・・・主人公イム・ビョンホが韓国へ(偽装)亡命に成功したのである。このシーンは緊迫感があり、北朝鮮の命を受け、これから「二重スパイ」となるイム・ビョンホの過酷な運命の幕開けである(いや、イム・ビョンホは産まれた時が過酷な運命の幕開けなのかもしれません)。


 非常な韓国の拷問にも耐え、信頼を勝ち取ったイム・ビョンホは‘韓国側の人間’になる。亡命シーンもそうですが拷問の描写がリアルで見ていて辛いです。しかし実際にこういったことが日々行なわれていたと思うと恐ろしく、政治によって人生が狂わされ、自我を出さぬように生きることが当たり前になってしまうとはぞっとする。


 揺ぎない忠誠心で任務を遂行するイム・ビョンホだったが、ユン・スミ(コ・ソヨン)と出会い、運命の歯車が狂い始める。


 

 南北分断の悲劇をテーマにしたエンターテイメント作として『シュリ』『JSA』が挙げられますが、本作は『シュリ』『JSA』とは異なる視点で南北分断を扱っている。主人公が北朝鮮工作員というものそうですが‘二重スパイ’という今までにない要素が加わっているのが本作の魅力であり、特徴です。


 軍事パレード、脱北、過酷な拷問、工作員としての任務・・・など前半はイム・ビョンホを通して南北分断や、工作員の任務、歴史の暗部が適度な緊張感と共に描かれていて良いのですが、後半から次第にその魅力が失われていく・・・というか‘二重スパイ’となっているのに緊迫感があまり感じられなくなっていた気がします。


 後半こそ盛り上がるはずなのですが、どうもこう感情が盛り上がりませんでした。予想通りの展開になっていったのが要因なのかもしれません。



 また南北分断の悲劇にラブストーリーを織り交ぜるのはまぁありきたりではあります。なのでそのありきたりな要素をいかに他と差別化を図るかが重要だと思うのです。本作の場合、それほどラブストーリーを感じさせなかった事で差別化を図っていたような気がします。というのもどうもイム・ビョンホがユン・スミを愛しているようには思えなかった。愛情と言うものとは別の感情だった様な気がしました。


 私はラブストーリーが前面に押し出されなかった事は良かったと思います。ラブストーリーの要素が強かったのならば、作品のテーマや雰囲気が弱く、そして損なわれてしまうと思うので。


 本作は『スパイ』というものの派手なシーンは全くない。全編暗く、希望も感じられない。そうした点からリアリティーに満ちた作品になっていると思います。


 ただ、先に述べたように前半はいいが後半の展開がイマイチ。特にラストは読めてしまいます。この手の作品にありがちなラストです。‘現実’を考え。そして作品のメッセージを考えた場合、ああいったラストになるのは納得ですが、何かあと一捻り欲しかったなと思いました。



 しかし、ハン・ソッキュの好演は本作でも光っていた気がしました。‘魅力全開’とまではいっていない気もしましたが、作品を締めていたのはやはりハン・ソッキュの存在が大きかったと思います。

 



 南北分立により、運命に、歴史に翻弄された二人を観て居ると切なく悲しくなる。平和であったら主人公達の運命も大きく変わっていたのだろう。派手なアクションシーンが沢山あるわけではありませんが、じんわりした‘韓国映画らしい’作品です。




 ~※~※~※~※~※~ 


 さて韓国で公開前から期待されていたと最初に言いましたが、本作は興行的に失敗した作品なんです。『シュリ』や『JSA』と比べられてしまった事が大きな要因だそうですが・・・


 そして本作の興行失敗の‘汚名返上’になるか!?と注目され、私も楽しみにしていた『塩人形』((因みに共演はハン・ソッキュの妻役としてイ・ウンジュだった。)が製作中断となったり・・・色々とありました。(-_-;)


 


 



<参考>

『塩人形』 K-plaza.com 2003/11/20 http://www.k-plaza.com/news/200311/20031120.html



<当ブログ内関連記事>


『シュリ』


『JSA 共同警備区域』




二重スパイ@映画生活




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プロフィール

るい

Author:るい
【好きな俳優】
堺雅人、堤真一(特にこの二人が好き!)、大沢たかお、織田裕二、天海祐希、深津絵里

【舞台】
劇団☆新感線に嵌まってます!
ここ最近毎月観劇。

観劇予定: 時計仕掛けのオレンジ / テンペスト / シェイプオブシングス / NODA MAP・南へ / 劇団新感線・港町純情オセロ 


【映画】
洋画、邦画、韓国、香港とジャンル問わず何でも観てます。
最近は邦画鑑賞率高いです。


【ドラマ】
踊る大捜査線のファンでNW捜査員。

SP-警視庁警備部警護課第四係-が心底好き。


【小説】
佐々木譲、今野敏、貫井徳郎、雫井脩介、横山秀雄、海堂尊を好んで読みます。


■物凄いマイペースにやっているので不定期更新です。
なるべく観たものは全て感想を書きたいなと思っていますが
書かない or かなり時間が経ってから書くこともあります。

■映画、舞台、好きな俳優、ドラマの話が多めです。
感想はあくまで私個人のものなので「あ~この人はこう感じたんだ」程度に受け止めてください。



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