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『王の男』   視覚的癒しは‘美’、心の癒しは‘笑’。抗う者達が辿る茨道。

出演■カム・ウソン、イ・ジュンギ、チョン・ジニョン、カン・ソンヨン

監督■イ・ジュンイク







<ストーリー>

 16世紀初頭、漢陽にやってきた旅芸人チャンセンと相棒の女形コンギル。都で時の王ヨンサングンが、妓生上がりの官女と日夜遊び呆けている噂を聞きつけた2人は、芸人仲間と宮廷を皮肉った芝居を始める。興行は人気を博すものの、一座は侮辱罪で逮捕されてしまう。重臣に「王を笑わせることができれば、侮辱ではない」と反論したチャンセンたちは、死をかけて王の前で芸を披露する。彼らの芸は王を魅了することができるのか…。



2005年  韓国


(「映画生活 Gaga」  より引用) 
 







 
ポン・ジュノ監督の『グエムル―漢江の怪物―』に抜かれるまで韓国歴代動員数№1だった作品で、韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞では最優秀作品賞など史上最多の10部門を受賞。。韓国で人気がある劇の映画化で、実在した史上最悪とまで言われる暴君ヨンサングンを題材に史実とフィクションを織り交ぜたストーリー。そして豪華絢爛な衣装やセット、色鮮やかな映像で描く時代劇。



 この映画の主人公は実在した王ヨンサングンではなく芸人。身分が低く、苦しい生活を強いられている者達の視点で描かれていることが本作の魅力の一つでしょう。チャンセンとコンギルは固い絆で結ばれ、互いを理解し思いやる関係。そんな二人が自由と希望ある世界を求めて都に行く。


 そこで他の芸人と共に王や宮廷を皮肉った芸を披露し都の人々の心を掴むが侮辱罪で捕まってしまう。「王を笑わせたら侮辱じゃない」というチャンセンに重臣が耳を傾け、彼らにチャンスを与える・・・


 彼らの芸はほとんど下ネタです。内容は大体がタイトルの通りなのですが、ストレートな同性愛描写があるわけではなく、王とコンギル、そしてチャンセンの関係はあくまでプラトニックなものとして描かれています。宮廷内の陰謀も描かれているものの、ドロドロ感はさほどなかったので予告で抱いた印象とは違い全体的にスッキリとした印象を受けました・・これは意外でした。



 
元になった劇では同性愛描写が多い(というかそんなお話し)だそうですが、本作ではそういった部分を取り払い、精神的な繋がりを強く描く演出をしています。それは良いのですが、しかしですね・・・・パンフレットで「同性愛ではない」と書かれているもののそのように見えてしまう。タイトルが『王の男』(因みに、『王の男』というタイトルには「男と女という性別の違いによる対比を超えたところで人間の価値を表現しようと思った」とパンフレットのインタビューで監督が答えています。)ですし・・・。


 確かに精神的な繋がりを前面に出した作りにしている事によって三人が抱く孤独感や哀しみ抗いたいが抗う力の無い者’同士の混沌とした心情が伝わります。この点、とても良かったです。特に終盤のコンギルの揺れる心情、チャンセンの思い、王の乱心、ノクスの王への思いなど、各登場人物の激しい思いのぶつかり合いがクライマックスシーンを盛り上げていました。


 しかし精神的繋がりを重視して描かれた事により、「いや、どう考えてもこの三人は・・・」という描写が随所にある為何だかバランスが悪いと言うか、三人の感情を始めあらゆる面が中途半端になってしまったかなと言った印象を受けました。一層の事、劇同様にそういった部分をしっかりと描いても良かったのではと思います(といっても絡みシーンとかはいらないです(笑))。その方がより王とコンギル、そしてチャンセン、彼らを取り巻く人々の感情の波に心地よく飲まれた様な気がしました。



 本作のメインはヨンサングン、コンギル、チャンセンの三人。先述のように王ではなく芸人二人が主人公なのですが、暴君とされるヨンサングンを一人の人間として描いている事が興味深いです。というか妙にヨンサングンが一番感情移入しやすいキャラクターでした。


 なぜヨンサングンが暴君となったのか、彼の生い立ちや彼の周りの人間との関係等が主人公二人よりも惹かれました。『王の男』と言うタイトル、深読みしすぎなのですが『王の男=コンギル』の他に『王の男=ヨンサングン』でもある様な気がしました・・・というのもヨンサングンは‘王’というものに縛られた男であると感じたからです。


 幼いころに母を無くし、王となった今でも自分の存在は認められずに何かと父と比べられる哀れな王。なので、最初にコンギルとチャンセンの芸を見てそれまでの厳しい表情の王が噴出す姿は非常に印象深い。


 本作は実在した人物を題材にしている事もあり、韓国の歴史を知っていた方が楽しめそうです。また、ヨンサングンの後の王として擁立されたのがヨンサングンの異母弟であるチュンジョン(チャングムが仕えている王)だそうなので、私は未見なのですが、イ・ヨンエ主演のドラマ『宮廷女官チャングム』を観ていると良さそうですね。


 

 

 また、「その美しさが歴史を狂わせる」というコピーにあるようにコンギルを‘美しい’と取るか取らないかでも結構評価が分かれるような気がしますね。やはり本作のキーはコンギルなので。「その‘美しさが’・・」というよりも「その‘存在が’・・」といえる気が、大好きな芸をしたいと願い、自由を求めるコンギルは特に何もしていないのに彼を取り巻く人々、そして彼自身の運命も過酷なものになってしまうのですからね。パンフレットに「コンギルは悪女である」と作家・岩井志麻子氏が書いていますが本当にその通り。 しかしこうした美青年って切れ目の設定(というのか。)が多いですね~確かに切れ長の目=妖艶ということなのか。何故なのでしょうね。




 余談ですが、本作を観て思い浮かんだのが大島渚監督の『御法度』(※御法度 allcinema ONLINE と、及川光博。コンギルを観て「ミッチーだ・・・。」と思ってしまいました(笑)。





王の男@映画生活

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コメント

非公開コメント

1 ■こんばんは

いつもありがとうございます!
国によってヒットする映画が違うんだと、当たり前のことながら、思ってしまいました。ヨンサングンがどんな人かってのは知ってて当たり前で見るのと、そうでないのとでは、また受け取り方が変わってきそうですね。

2 ■>カヌさん

こんばんは!こちらこそいつも有難う御座います。


ヨンサングンや当時の政治体制などの知識があってこの作品を観ると、受け取り方がまた変わりそうですよね。韓国では大ヒットとなったのもそういったことがあるのでしょうね。

3 ■こんばんは

rainさん、こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。

>妙にヨンサングンが一番感情移入しやすいキャラクターでした。
そうですね、僕もそう感じました。
rainさんの記事を読んで、あ、同じように感じた方がいるだなと嬉しくなりました。

また寄らせていただきます。

4 ■>はらやんさん

こんばんは。

主役二人よりもヨンサングンが一番感情移入しやすかったですよね。王として生きる苦悩や孤独が良く出ていたからだと思います。なので最初の劇を見て大笑いするヨンサングンの姿が印象的でした。
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るい

Author:るい
【好きな俳優】
堺雅人、堤真一(特にこの二人が好き!)、大沢たかお、織田裕二、天海祐希、深津絵里

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ここ最近毎月観劇。

観劇予定: 時計仕掛けのオレンジ / テンペスト / シェイプオブシングス / NODA MAP・南へ / 劇団新感線・港町純情オセロ 


【映画】
洋画、邦画、韓国、香港とジャンル問わず何でも観てます。
最近は邦画鑑賞率高いです。


【ドラマ】
踊る大捜査線のファンでNW捜査員。

SP-警視庁警備部警護課第四係-が心底好き。


【小説】
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感想はあくまで私個人のものなので「あ~この人はこう感じたんだ」程度に受け止めてください。



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