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『孤高のメス』 命の継承、未来への一刀

孤高のメス【DVD】孤高のメス【DVD】
(2010/12/03)
堤真一夏川結衣

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監督:成島出
出演:堤真一、夏川結衣、吉沢悠、松重豊、中越典子、柄本明、成宮寛貴、平田満、余貴美子、生瀬勝久 他

2010年 日本

鑑賞 : 2010年5月14日 @有楽町朝日ホール 特別試写会


< Story >

1989年、ある地方都市の市民病院。患者より権威、体制を重んじ手術もまともにできない医師が幅をきかせていたその病院に、患者第一主義を貫く外科医、当麻鉄彦が赴任してくる。“命“を何より重んじ己の信念を曲げず、当麻は次々と困難なオペを成功させていくが……。



孤高のメス@ぴあ映画生活より





先月久しぶりに申し込んだ試写会に当り鑑賞。
先に『ぴあ映画生活』に春77のHNでレビューを投稿していますので、そのレビューと大体被ってます。




原作は現役の医師・大鐘稔彦の長編小説。
現在文庫本が売られていますが、原作を買おうと書店に行ってびっくり。
なんと6巻もあるんですね。続編も入れれば10巻という大長編作。
映画では脳死肝移植がメインですが、原作では脳死肝移植を始め様々な事柄が描かれています。
監督もこの長編作を約二時間に纏める事に苦労されたようですが、原作にはいない看護師・中村浪子の息子を作りだしたことで、上手くまとめた脚本を作られたなという印象を持ちました。



舞台は1989年。救える命を救おうとはせず、地位と名誉しか考えずいい加減な治療しか行わない医師、
腐敗仕切った医療現場・・・そんな環境に身を置くがゆえに誇りを失いかけた看護師・中村浪子。
そんな彼女の前に米国帰りの外科医・当麻が現れる。

冒頭の野本医師のオペシーンで1989年の医療現場の現実を突きつけられ、生々しいオペシーンに驚いた。
このシーンで生瀬さん扮する野本に嫌悪感を抱くとともに、
もし自分がこのような扱いをうけたらと思うと不安と恐怖の感情が湧き出てきた。
このシーンで1989年の手術室に自分もいるかの様な錯覚を覚え、看護師・中村浪子の気持ちと同調した。

浪子との同調、彼女への感情移入の度合いによって、本作の捉え方や、鑑賞後の気持ちは多少なり違ったものになると思います。
というのも、本作は浪子の息子が彼女の日記を読み、在りし日の母の姿を知っていくという構成になっている為、
浪子の視点で当麻が起こす奇跡を見るという事が本作の一つのキーとなるかと思います。


医療従事者としての誇りや信念を失いかけていた浪子をはじめとする市民病院の医師、看護師らは当麻の“美しいオペ”に携わった事で「目の前の患者を何がなんでも救いたい」という信念に感化され、次第に変わっていく。

当麻の手術の腕も素晴らしいが、彼の人柄も魅力的で、院内の空気が彼の存在によって次第に浄化されていく。

しかしそんな穏やかな日々は長くは続かず、ある日病に倒れた市長が運ばれてくる事によって、
当麻の決断の日が、現行医療制度へ戦い・・・患者と医療の未来への戦いが始まった。


吹き荒れる病院の屋上でのシーンは本作の名シーンの一つ。
日食の日に撮影がされたというこのシーンは余貴美子さんの心に迫る素晴らしい演技と、彼女の思いを受ける当麻と浪子を演じる堤さんの静の演技と夏川さんの母・看護師の両面から出る心情を表した演技の静かなぶつかり合い。
彼等の苦悩と当麻の苦渋の決断を表すかの如く風が強く吹き荒れ、あたり一面真っという閉塞感すら覚える画。
このシーンは計算して撮られたのか自然が成し得た物なのかは分かりませんが、奇跡に近いシーンだと思いました。



苦渋の決断を強いられた当麻は自信の信条のもと、
例え法律で認められていなくても、世間が殺人と言おうとも、当麻は命の継承儀式とも言える「脳死肝移植」に挑む。




扱うテーマは重いのですが、見終わった後は爽快感がありました。
その爽快感の要因の一つは堤さん扮する主人公・当麻のキャラクターが大きな要因ではないかと。
鑑賞前は『クライマーズハイ』の悠木の様な熱く激しい人物かと思っていたのですが、
全く異なるキャラクターで、熱い物は内に秘めてはいるものの、前面にその熱さを出すことはしないんですよね。
そして何より天然で可愛らしい先生。

「この人と仕事がしたい、していて楽しい」と周囲に思わせる様な魅力あふれる医師であるからこそ、
彼の“信念”に共感した人間が多かったのではないかと思いました。
それは観ている此方も同じかと。


また本作は医療ミス、移植、地域医療問題、医師不足等現代に通じる医療問題と共に、市長とその娘、浪子と息子、静と息子等親子愛もサブテーマの一つであり、家族や人との繋がり、出会いの大切さを淡々と描くことで観る者に静かに心に響く、染みわたっていく作品です。


もうひとつの見どころは実際生体肝移植を行っている医師の指導のもとに撮影されたリアルなオペシーンです。
出演者は実際のオペを見学。そして実際のオペ手順を学んで吹き替えは殆ど無しでオペシーンを撮影したとか。
堤さんは撮影の合間には結紮の練習をしたり、手術キットを持ち帰り、自宅での練習もされていたそうで、
映画のオペシーンでの堤さんの手さばきは実に華麗で外科医そのものでした。


キャスト、演出、テーマ等は本当に良かったのですが、日記を読み過去に遡るという作りの為、
浪子のナレーションが随所に入る。これが少し説明過多な気がして、
『クライマーズハイ』の様な高揚感や緊迫感が本作は少し弱かった様に思えました。
後半もう少し盛り上がりを見せてくれたら満点だったんですけどね。


『クライマーズハイ』が“動”で『孤高のメス』が“静”。


本作の魅力は静寂の中にある暖かさなのかもしれません。



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ここ最近毎月観劇。

観劇予定: 時計仕掛けのオレンジ / テンペスト / シェイプオブシングス / NODA MAP・南へ / 劇団新感線・港町純情オセロ 


【映画】
洋画、邦画、韓国、香港とジャンル問わず何でも観てます。
最近は邦画鑑賞率高いです。


【ドラマ】
踊る大捜査線のファンでNW捜査員。

SP-警視庁警備部警護課第四係-が心底好き。


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