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観劇 『NODA・MAP ザ・キャラクター』

作:野田秀樹
演出:野田秀樹
出演:宮沢りえ(マドロミ)、古田新太(家元)、野田秀樹(家元夫人/ヘ―ラ―)、藤井隆(会計/ヘルメス)、
池内博之(アルゴス)、チョウ・ソンハ、田中哲司(新人)、銀粉蝶(オバちゃん)、美波(ダプネー)、橋爪功(古神/クロノス)


< あらすじ >
舞台は小さな書道教室。書道教室には家元を崇め、一心不乱に文字を書く生徒たちと、そんな生徒たちを取りまとめる古神と会計が生徒たちに文字の作りを説明し、意味を説いていた。
そんな中海外旅行から家元が帰国。家元は旅先での体験を話しはじめる。
そして書道教室に身をひそめる女が一人。彼女の名はマドロミ。
弟を探しにこの書道教室に潜入していたのであった。
書道教室とマドロミ、両者が出会い行きつく先は・・・


観劇:2010年7月24日(土) マチネ@東京芸術劇場





NODA MAP

観てからだいぶ経っていますが、NODA・MAP第15回公演『ザ・キャラクター』を観てきました。

前情報を何も仕入れていかなかったので、かなり衝撃を受けました。
このタイトルとポスターからは想像がつかない舞台内容。
終演後、しばらく“黒い余韻”が残る作品でした。


以下ネタばれです!


開演前から舞台上に文字が書かれた板の様な物が3つ置いてあり「何だろう?」とずっと気になっていました。
書かれている文字は「俤(おもかげ)」と「儚」の2文字で、真ん中は何も書かれていない。

ラストに分かるこの最後の文字を含む3つの文字はこの作品を象徴する文字である。

とはいえ最初は何が何だか分からず、どんな舞台なのかも想像がつかなかった。


舞台全体が青白い光に包まれ、異空間に居るかの様な幻想的な世界観が突如として現れる。
そこに宮沢りえさん演じるマドロミが多くの人々の腕に抱えられ、そしてまるで産み落とされるかの様に、舞台上に“落とされる”。それは地上に舞い降りた天使にも見えるし、
これから起こることへの悪い予兆にも思える。

マドロミが冒頭で言う長いセリフは伏線が散りばめられている。
弟が居たのか居なかったのかは定かではないが、弟の俤は覚えており、
弟は自分の袖を掴み落ちて行ってしまったという彼女の袖は確かに片方千切れて無い。

華奢な体から放たれるセリフは力強く、一瞬で『ザ・キャラクター』の世界に引き込まれる。普段映画等で見聞きする宮沢りえさんとはまったく異なる姿に驚いた。
この声、本当に宮沢りえ??と思うほどの野太い声。マドロミという穏やかな名前とは裏腹に実に力強いキャラクターなので、声色を変えたのでしょうか。

幻想的な冒頭から書道教室へと舞台は移り、家元を崇め一心不乱になって文字を書く書道教室の生徒たちと、彼らを取りまとめる橋爪さん演じる教室の元大屋・古神と会計が文字の持つ力を説き、取り仕切っていた。
そんな中生徒たちが崇める家元夫妻が海外旅行から帰国。

家元が話す旅先での出来事は実にくだらないのだが、目を輝かせて聞く生徒たち。
この家元が話す旅先での出来事が狂気と悲劇へと繋がっていきます。


古田さんは新感線で見せるお得意のコミカルな演技で場内を沸かせつつ、
家元がもつ何か怪しげな雰囲気を演技の端々に出していたので、笑いの中にも一種の緊張感がありました。


この怪しい書道教室と並行してギリシャ神話が舞台の話が演じられていくのですが、
並行して描かれるギリシャ神話の世界をどう捉えればいいのかとちょっと戸惑っていました。
これは現実の話なのか、別次元での話なのかと。


次第に分かってくるのですが、ギリシャ神話の話も、登場人物も全てが現実で書道教室と同次元の話であり、両者が一つに成った時、恐ろしい真実が明るみになります。


まさかとは思いましたがこの作品、某宗教団体が起こした一連の事件を描いた作品だったのですね。
『ザ・キャラクター』というタイトルと、あのポスターからは全く想像していなかった、いや出来なかっただけに気付いた時はとても驚きました。


そう気付くとあの家元はあの教祖なんだよな、とか、マドロミの弟の入門動機からあの人物のことだなとか色々と当て嵌めて観るようになり、
一瞬にしてこの舞台が異様なものとなりました。

前半のコミカルな演出に気を取られ自然に取り込まれていたんですよね。
気付いた時にはもう逃れられないし、同化するしかないという。
観客を書道教室のいち生徒にしてしまうかの様な戯曲と演出は凄い。

本作のテーマを表すセリフに家元が言う『Give me change!』があります。
人が抱く変身願望や、現状からの脱出を熱望する感情を利用する為のこのセリフ。


家元から名前を与えられ、特別な人間に昇華した気になる生徒。

自信が信じていた物と者が姿を変え、異なるモノとなってしまった時の絶望。

確固たる思想はなく、ただ金儲けと自己顕示欲しかない家元を“神”として異なるモノにしてしまった周りの人間。狂気へと走る感情の変化等、

ありとあらゆる“変容”があり、その先に待ち受けるのはあの空白の板を埋める「幻」という文字。

この「幻」も真実を知ったマドロミによって変えられてしまいます。


真実へとたどり着くキーとなるのはマドロミの弟です。


マドロミの袖を掴むが、袖が千切れて落ちてしまった弟。
落ちたのではなく“堕ちた”弟。
袖はおそらく弟の人間性を表していたのではないかなと思います。
家元が間違えて書いた「袖」という文字をマドロミが「神だ」とした下りにも、弟が堕ちた事も意味していたように思える。

マドロミが見た弟は「幻」、現実の弟は人間性が欠落し、幼稚な思想を、幼稚な世界で生きることを選んだ別の“キャラクター”と化してしまった社会の闇に産み落とされたもはや人ではない生き物であった。


通勤ラッシュで混雑する電車内に傘と何かが入ったビニール袋を持っている弟。
袋に傘を突き刺した瞬間、恐ろしくなり、気分が悪くなった。舞台であるのは分かっているのに、その現場を見ている感覚に陥りました。



そんな弟の背に書かれた「幻」の文字に手で力強く線を引き「幻」を「幼」に変えて崩れ落ちるマドロミ。
マドロミを冷たい目で見つめ、自分だけ助かろうと冷蔵庫に隠れる家元を残して暗転。

事件が事件だけにもの凄い余韻を残しての終幕。

この作品はあの事件を描いたものであるが、現代社会を映し出した鏡の様な作品でもあったと思う。
「人間性が欠落した幼稚な社会」から生じた歪みから新たな闇を生み出してはならないというメッセージが含まれている、そんな気がしました。


しかし、凄い衝撃的な舞台でしたね・・・長々とまた書いてしまいましたが、
見どころというか語りどころ満載です、この舞台。

古田さんの前半と後半のギャップは本当に見事で、声色が変わった瞬間はゾッとしました。



来年の野田地図は妻夫木聡くんと蒼井優ちゃんの共演だそうで。
今から楽しみです。







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テーマ : 演劇・舞台
ジャンル : アイドル・芸能

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るい

Author:るい
【好きな俳優】
堺雅人、堤真一(特にこの二人が好き!)、大沢たかお、織田裕二、天海祐希、深津絵里

【舞台】
劇団☆新感線に嵌まってます!
ここ最近毎月観劇。

観劇予定: 時計仕掛けのオレンジ / テンペスト / シェイプオブシングス / NODA MAP・南へ / 劇団新感線・港町純情オセロ 


【映画】
洋画、邦画、韓国、香港とジャンル問わず何でも観てます。
最近は邦画鑑賞率高いです。


【ドラマ】
踊る大捜査線のファンでNW捜査員。

SP-警視庁警備部警護課第四係-が心底好き。


【小説】
佐々木譲、今野敏、貫井徳郎、雫井脩介、横山秀雄、海堂尊を好んで読みます。


■物凄いマイペースにやっているので不定期更新です。
なるべく観たものは全て感想を書きたいなと思っていますが
書かない or かなり時間が経ってから書くこともあります。

■映画、舞台、好きな俳優、ドラマの話が多めです。
感想はあくまで私個人のものなので「あ~この人はこう感じたんだ」程度に受け止めてください。



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