観劇 『時計じかけのオレンジ』
原作:アンソニー・バージェンス
演出:河原雅彦
出演:小栗旬、橋本さとし、武田真治、吉田鋼太郎、キムラ緑子、石川禅、高良健吾、ムロツヨシ、矢崎広、桜木健一、山内圭哉 他
< あらすじ >
舞台は全体主義の近未来社会。
主人公アレックスはジョージ、ディム、ビート等“ドルーグ”達と共に奇妙な“ナッドサッド語”を使いながら欲望の赴くまま悪行の限りを尽くす。
そして人々をゲームのように襲撃していくアレックスはついに人を殺してしまう。
仲間に裏切られたアレックスは刑務所へ。そこで自由を望むアレックスは刑期を短縮できるという治療方法『ロドビコ療法』の存在を知り、治療の実験台になることを望んだ結果治療を受けることになるが・・・
観劇日:2011年1月8日(土)マチネ@赤坂ACTシアター
言わずと知れたスタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』↓。
昔何だか観てはいけない映画という認識をしていた程衝撃的な作品ですが、なんとこれを舞台化すると知った時はどうするんだろう?と思いました。
しかし舞台化は初めてではなく、現地では既に上演されており、日本では初公演と言う事になります。
私の観劇初めがこの『時計じかけのオレンジ』。
新年早々よくこんなエ○グ○バイオレンスな舞台を上演したな~と思いましたが、観に行く私も私だなと(笑)
公式に『疾走するウルトラバイオレンス』とありますが、まさにその通りな舞台でした。
強烈な光と激しい音の洪水、LEDスクリーンの映像を多用する視覚と聴覚に刺激を与える演出。
両サイド鏡ばり(?)な舞台と主人公達の奇抜なファッションで幕開けと共にカオスな世界に引きずり込まれてしまった。
オープニングから異様で無機質な雰囲気が漂う。
まるで異星人が地球に降り立ったかのような役者の登場の仕方がとにかく異様。
別次元の人間の様で居心地が悪くなる。
冒頭のアレックス等ドルーグ達の歌と踊りは明るく軽快でも歌詞が過激でそのギャップが凄まじい。
無邪気さの中にある狂気・・・純粋悪と言うのでしょうか。それが現れていて恐ろしさが際立つ。
そして小栗君演じるアレックスとその仲間たちは顔面白塗りで目には黒いアイライン、真っ白なつなぎと黒い帽子・・・映画そのもののスタイルで登場。これがとても不気味なのです・・・
※以下ネタばれです。
インモラルがモラルな世界で、人間の罪深い潜在的欲望の具現化と言えるアレックスの視点から『善』と『悪』、『人間』というモノを見せられる。
ロドビコ療法を施されたアレックスは暴力や性に対して拒絶反応を起こすようになるが、これは自ら望んで起きる反応ではなく、他者が“除去”し“与えた”姿である。
自ら善と悪の判断が出来てこそ、理性で己の欲望を抑え込むことができてこそ『人間』である。
アレックスは全体主義の社会で生きる「時計じかけのオレンジ」=若さに満ち、見た目は健康健全な若者の様であっても、中身は非人間的で無機質であり、理性も働かず欲望のままに生きる。
そして全体主義国家にいいようにされた(ロドビコ療法をされた後の成れ果て)異質なモノという事かなと思ったのでありました。
またアレックスを見た牧師のセリフと、エンディングの歌と映像に幾度か出てくる「NO CHOICE、NO LIFE」が本作のテーマではないかと。
パンクオペラと言うだけあってバンドの生演奏の迫力が凄い。
役者も歌い踊る!橋本さとしさんと鋼太郎さんの歌声と存在感は圧巻で、やはりお二人が突出していたように思えた。
しかし主演の小栗君も見せるし(←これはビックリ)魅せます。
ロドビコ療法前後のアレックスの演じ分けは上手かったですし、台詞も聞き取りやすかったです。
そしてアレックスの仲間を演じた高良君等若手勢の演技も勢いがありました。
驚くシーンが色々とあり、客席を巻き込むある演出は本当にビックリした。
まさか近くの空いている席に小栗君が来て暴れるとは思わず一瞬何が起きているんだ!?と思いました。
それ以上に驚いたのが休憩時間。
休憩開始後暫く橋本さとしさんと緑子さんがアドリブ混じりでトークしているのもビックリでいたが、まさか小栗君が休憩時間も壇上で絶叫し続けるとは・・・
休憩行けないじゃないか!と(笑)
友人曰く、途中から映像に切り替わってるっぽいとの事でしたが、私はそんなこと疑わずに観ていました(笑)。
あれ実際どうなっていたのでしょう?本当に斬新な演出でした。
映像の多様や歌の入れ方、バンドの生演奏等は少し新感線に似ているなと思ったのですが、既視感ある中にも未体験の演出が仕掛けてあり、全体的にみるとやはり前衛的な舞台だったなと思いました。
ちなみに舞台は原作よりで、ラストも原作と同じだとか。
映画のエンディングの後「まだショーは続くよ」となり、原作通りの成長したアレックスが現れるのですが、映画公開時に色々あったようですね。
原作のエンディングがあるのと無いので全く異なると思います。
若さゆえの行いだから仕方がない、抗えないと言ったような台詞・・・
これそんな台詞で今までの行いを纏めて普通の生活おくっているなんて、かなり恐ろしい・・・。
う~ん・・・新年早々色々な意味で刺激的な舞台でした。
余談ですが、カーテンコールが面白かった。
橋本さとしさんと鋼太郎さんがムロツヨシさんを毎回弄るんです(笑)
ムロさんの帽子を客席に投げたり、ムロさん落とそうとしたり。
慌てるムロさんが可愛い(笑)矢崎君はスライデングしてくるし。
高良君は緑子さんと何やらお話していた・・・顔小さくてカッコ良かったです。
小栗君は役に入り込んだままのお辞儀がなんとも独特で良い。
しかしスタイルほんと良いですね~。
センターブロック左通路側の方は真近であの奇抜な衣装の小栗君が観られたんですよね~新年早々ラッキーな方だ!(笑)
演出:河原雅彦
出演:小栗旬、橋本さとし、武田真治、吉田鋼太郎、キムラ緑子、石川禅、高良健吾、ムロツヨシ、矢崎広、桜木健一、山内圭哉 他
< あらすじ >
舞台は全体主義の近未来社会。
主人公アレックスはジョージ、ディム、ビート等“ドルーグ”達と共に奇妙な“ナッドサッド語”を使いながら欲望の赴くまま悪行の限りを尽くす。
そして人々をゲームのように襲撃していくアレックスはついに人を殺してしまう。
仲間に裏切られたアレックスは刑務所へ。そこで自由を望むアレックスは刑期を短縮できるという治療方法『ロドビコ療法』の存在を知り、治療の実験台になることを望んだ結果治療を受けることになるが・・・
観劇日:2011年1月8日(土)マチネ@赤坂ACTシアター
言わずと知れたスタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』↓。
時計じかけのオレンジ [DVD] (2010/04/21) マルコム・マクドウェル、パトリック・マギー 他 商品詳細を見る |
昔何だか観てはいけない映画という認識をしていた程衝撃的な作品ですが、なんとこれを舞台化すると知った時はどうするんだろう?と思いました。
しかし舞台化は初めてではなく、現地では既に上演されており、日本では初公演と言う事になります。
私の観劇初めがこの『時計じかけのオレンジ』。
新年早々よくこんなエ○グ○バイオレンスな舞台を上演したな~と思いましたが、観に行く私も私だなと(笑)
公式に『疾走するウルトラバイオレンス』とありますが、まさにその通りな舞台でした。
強烈な光と激しい音の洪水、LEDスクリーンの映像を多用する視覚と聴覚に刺激を与える演出。
両サイド鏡ばり(?)な舞台と主人公達の奇抜なファッションで幕開けと共にカオスな世界に引きずり込まれてしまった。
オープニングから異様で無機質な雰囲気が漂う。
まるで異星人が地球に降り立ったかのような役者の登場の仕方がとにかく異様。
別次元の人間の様で居心地が悪くなる。
冒頭のアレックス等ドルーグ達の歌と踊りは明るく軽快でも歌詞が過激でそのギャップが凄まじい。
無邪気さの中にある狂気・・・純粋悪と言うのでしょうか。それが現れていて恐ろしさが際立つ。
そして小栗君演じるアレックスとその仲間たちは顔面白塗りで目には黒いアイライン、真っ白なつなぎと黒い帽子・・・映画そのもののスタイルで登場。これがとても不気味なのです・・・
※以下ネタばれです。
インモラルがモラルな世界で、人間の罪深い潜在的欲望の具現化と言えるアレックスの視点から『善』と『悪』、『人間』というモノを見せられる。
ロドビコ療法を施されたアレックスは暴力や性に対して拒絶反応を起こすようになるが、これは自ら望んで起きる反応ではなく、他者が“除去”し“与えた”姿である。
自ら善と悪の判断が出来てこそ、理性で己の欲望を抑え込むことができてこそ『人間』である。
アレックスは全体主義の社会で生きる「時計じかけのオレンジ」=若さに満ち、見た目は健康健全な若者の様であっても、中身は非人間的で無機質であり、理性も働かず欲望のままに生きる。
そして全体主義国家にいいようにされた(ロドビコ療法をされた後の成れ果て)異質なモノという事かなと思ったのでありました。
またアレックスを見た牧師のセリフと、エンディングの歌と映像に幾度か出てくる「NO CHOICE、NO LIFE」が本作のテーマではないかと。
パンクオペラと言うだけあってバンドの生演奏の迫力が凄い。
役者も歌い踊る!橋本さとしさんと鋼太郎さんの歌声と存在感は圧巻で、やはりお二人が突出していたように思えた。
しかし主演の小栗君も見せるし(←これはビックリ)魅せます。
ロドビコ療法前後のアレックスの演じ分けは上手かったですし、台詞も聞き取りやすかったです。
そしてアレックスの仲間を演じた高良君等若手勢の演技も勢いがありました。
驚くシーンが色々とあり、客席を巻き込むある演出は本当にビックリした。
まさか近くの空いている席に小栗君が来て暴れるとは思わず一瞬何が起きているんだ!?と思いました。
それ以上に驚いたのが休憩時間。
休憩開始後暫く橋本さとしさんと緑子さんがアドリブ混じりでトークしているのもビックリでいたが、まさか小栗君が休憩時間も壇上で絶叫し続けるとは・・・
休憩行けないじゃないか!と(笑)
友人曰く、途中から映像に切り替わってるっぽいとの事でしたが、私はそんなこと疑わずに観ていました(笑)。
あれ実際どうなっていたのでしょう?本当に斬新な演出でした。
映像の多様や歌の入れ方、バンドの生演奏等は少し新感線に似ているなと思ったのですが、既視感ある中にも未体験の演出が仕掛けてあり、全体的にみるとやはり前衛的な舞台だったなと思いました。
ちなみに舞台は原作よりで、ラストも原作と同じだとか。
映画のエンディングの後「まだショーは続くよ」となり、原作通りの成長したアレックスが現れるのですが、映画公開時に色々あったようですね。
原作のエンディングがあるのと無いので全く異なると思います。
若さゆえの行いだから仕方がない、抗えないと言ったような台詞・・・
これそんな台詞で今までの行いを纏めて普通の生活おくっているなんて、かなり恐ろしい・・・。
う~ん・・・新年早々色々な意味で刺激的な舞台でした。
余談ですが、カーテンコールが面白かった。
橋本さとしさんと鋼太郎さんがムロツヨシさんを毎回弄るんです(笑)
ムロさんの帽子を客席に投げたり、ムロさん落とそうとしたり。
慌てるムロさんが可愛い(笑)矢崎君はスライデングしてくるし。
高良君は緑子さんと何やらお話していた・・・顔小さくてカッコ良かったです。
小栗君は役に入り込んだままのお辞儀がなんとも独特で良い。
しかしスタイルほんと良いですね~。
センターブロック左通路側の方は真近であの奇抜な衣装の小栗君が観られたんですよね~新年早々ラッキーな方だ!(笑)
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